Monkey Guitar Instruments Lab.

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EL34真空管アンプの作成(2006/11/19)

KT88を使用した自作ギターアンプを大幅改造し、EL34をドライブするギターアンプを 検討してみたいと思います。前回はクリーントーン主体でしたが、今回は 歪ませて使えるように大幅に改造します。

アンプ構成の検討

アンプ構成は、前回の6BL8を使用した位相反転ドライバをやめ、コラムで検討した 市販品の構成を一部踏襲し位相反転ドライバを12AX7で考えました。また、今回は 歪ませてみるつもりなので、12AX7トーン+ボリュームにさらにもう一段増幅部を 増設したいと思いました。構成は最終的に以下のとおりで落ち着きました。

歪みを得るために増幅度を上げますが、そのまま出力段に送るとどでかい音に なりますので、マスターボリュームが必須となります。出力段は自己バイアス方式とし、 基本的に無帰還で作ってみます。メサ/ブギーのプリアンプ段にマッチレスの出力段を 合わせたようなアンプ構成です。

初段管を選定

初段にどうせ入れるなら思いっきり増幅したいと考えて、5極管を初段に 採用しようと決め、当初は6267/EF86がどうかと思っていましたが、 東京真空管商会さんのお薦めで、6BR7/CV4006を使用することに決めました。

インターネットで検索してみると、英国ブライマー社製初段専用のオーディオ管と いうことで、かなり期待度は高いです。感謝感謝!!

12AX7カソードコンデンサで苦悩

3段目・5段目の12AX7カソードには、下記の回路ではバイパス用のコンデンサを 入れていません。フェンダーのアンプ等では入っていますが、ゲインを上げて 歪ませていくと、このコンデンサで低音側がボーンと音がぼやけます。

このコンデンサの役割は、カソードを交流的に接地することで 増幅率を上げることです。しかし、歪み段では想像している気持ちいい歪みには なりませんでした。増幅率は減ってしまいますが、初段管で十分増幅していると考え、 12AX7では、コンデンサを取り去りました。

しかしながら、ディストーション等のエフェクターで行っているように、 0.047uF+1kΩを挿入してみるのも面白いかもしれません。

ヒーターを直流点火に

今回のアンプは増幅度を上げていますので、ノイズに敏感になるのでは?と考え、 ヒーターを交流点火から直流点火に変更しました。ですが、コンデンサを1000uFで 選定してしまい、ダイオードブリッジを構成した後でも0.5V程度のリップル電圧が 残ってしまいました。10000uF程度に付け替えが必要です。とはいえ、リップル電圧が 約1/10になりますので、やらない手はないです。

拡大図はこちら

マスターボリュームの設置

今からシャーシの加工は手間だったので、3極管接続/ウルトラリニア接続の 切り替えをやめ、マスターボリュームを設置しました。 KT88オリジナルの自作ギターアンプの時にいろいろ切り替えて弾き比べしてみましたが、 クリーントーンの艶が違うと感じました。どちらかというとウルトラリニア接続の方が、 艶のあるクリーントーンの感じがします。トゥルーン!のルーン!の部分が微妙に 違うのです。(分かりづらいですね。)HiFiオーディオでは、3極管接続がなかなか 好評のようですが、ギターアンプではそうでもないと感じました。 そのため、僕の主観ではありますが、ウルトラリニア接続を残しました。

一発目の実験アンプ完成

てなわけで、2作目の自作ギターアンプが一応完成です。一応としたのは、 聴いてみて調整を入れると思ったからです。ヒーター部分以外はほぼ設計どおりの DC電圧値が確認できました。ヒーター電圧は、6.3V交流でしたが、今回は6V程度でした。 5%低いですが、低ノイズとしたかったのでこれでOKとしました。ギターをつないで、 いよいよ試聴です。

拡大図はこちら
回路図はこちら

試聴

VANZANDTのピックアップを搭載したフェンダーストラトでチョーキング一発!! の印象は、うおっ!!いい感じ!!です。 KT88/6BL8構成のときにもEL34に変更してみましたが、音の印象は固めのこりっとした 感じでした。今回はデラリバに近い感じで、高音側にキラッとした感じがあります。 トーンを変更し、ベース側を強調してみても、ウォームで温かみのある音色となり、 弾いてても疲れのこない、気持ちいいトーンとなりました。

肝心のひずみのほうは?!といいますと、自宅で歪みませんでした!! というか、歪ますところまで音量を上げれませんでした。これ以上は無理!!近所迷惑!! スタジオで試すしかなさそうですね。

サンプルサウンド1はこちら
サンプルサウンド2はこちら
サンプルサウンド3はこちら

アンプキャビネットの製作(2006/12/30))

真空管アンプをオーディオパワーアンプを見習い作成していましたが、 スタジオ等に持っていくのにとてももって歩きにくい、 真空管がもろにとび出しているので、危険だし壊しそうということで、 アンプ自体が扱いにくいものになっていました。

元々のオーディオアンプでは、一度置いたらそうそう移動させることもないでしょうし、 特に問題もないと思いますが、ギターアンプとなると機動性・安全が問われてきます。

そこで、ここはキャビネットを製作しようと考え、初心者なりに作成しました。

木工は楽しい

木工第一作目となった真空管アンプのキャビネットですが、 まあまあの仕上がりとなりました。(自分なりにはがんばったのですが・・・) 木工は、アナログ回路と同じぐらいアナログですね。職人さんがいるという時点で、 その道の奥深さが分かるのですが。

アナログ好きの僕としては、木工は楽しい!!です。木工の楽しさを次に上げると、

そういう意味で言うと、ギターとかの木製楽器は、職人芸が問われる 精度の高い木工品といえると思います。

失敗箇所と反省点

木工製作がお好きな方から見れば、こんなキャビネットは下の下でしょうが、 僕なりに失敗箇所を分析してみます。

まずキャビネットの大きさを途中で変更したこと。かんながけをしていったのですが、 材料の寸法がどんどん合わなくなって、設計変更に見舞われました。かんながけは、 技術がいりますね。ぴたっと90度にあわせるのも一苦労でした。

また、今回木材の接続にはだぼを使用してみましたが、ハンドドリルでは だぼ穴がずれます。結構なずれで、せっかく90度加工しても組み立てでずれてしまいました。

それと、木工ボンドの扱い。スピーカーキャビネット自作の本などには、 木工ボンドははみ出るくらい塗ることと書いてあり、そのとおりにしてみましたが、 はみ出たボンドの処理が悪く、塗装時に斑ができました。

塗装自体も油性ニスをはけ塗りしてみましたが、斑ができてしまいました。 マホガニーの色合い自体は気に入っていたのですが。

というわけで、失敗箇所は多いですが、第一作目としては機動性・安全性が 確保できましたので、まあ良しとしました。この辺のリベンジは、 次のコンボアンプキャビネットで!!


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