Monkey Guitar Instruments Lab.

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6BQ5パラプッシュプルアンプの製作(2007/4/22)

キャビネット、アルミシャーシと一からコンボアンプを製作してきましたが、 いよいよ電気回路の組み立てに入ります。その前に骨の折れる作業が残っていますが。

6BQ5アンプの設計

前回のアンプにて、EL34/6L6GC/KT88等の有名・著名出力管を試してきましたが、 これはUS8ピンの共通ソケットで変更が可能だったからです。そして、TANGOのトランスと ウルトラリニア回路により、低音の強調されたクリーンアンプが完成しました。

今回は、USソケットではなく、MT9ピンの6BQ5を試していきたいと思います。 MT管ではプレート損失が低く、そのため1本では出力が稼げないので、パラプッシュプルに 挑戦します。(固定バイアス)また、文献等にはあまり見当たりませんが、 前回の結果が良かったので、ウルトラリニア出力も採用します。

新たに、前回入れることが出来なかったリバーブを導入します。フェンダーデラリバ等に 採用されているスプリングリバーブを使用してみます。ドライブ管は12AU7を使用します。

また実験としては、最近格安でロシアのドライブ管6N1Pが手に入りましたので、 6BQ5には十分すぎますが、12AU7と差し替えて音の違いをレポートできればと思います。

最後に、前回のクリーンアンプからさらにディストーションドライブ回路を追加し、 よく歪むアンプを目指していきます。以下に、前回から踏襲した部分をまとめます。

次に、今回の新規部分をまとめます。

ウルトラリニアを採用しなければ30Wまでいけそうですが、若干の余裕も考え 25W程度を目指します。

回路図はこちら

穴あけ加工

加工したアルミシャーシに設計どおりの回路が組めるように、 シャーシ上面の部品レイアウトを検討しました。その後、穴あけ加工を施します。

今回は整流管に5AR4x1、電圧増幅管に12AX7x3、ドライブ管に12AU7x2、出力管6BQ5x4 計10本の真空管を使用します。 また、電源に使用するバイパスコンデンサを立てようと考え、その部分も加工します。

しかし、簡単に書いてありますが、この作業ほどへとへとになるものはありませんね。 6BQ5の音を想像して、がんばるだけです!!

ソケット・トランスの組み立て

穴あけ加工が終了したら、トランス・真空管ソケット等の部品を組み立てていきます。 また、前後のパネル部分はデザイン上黒にしたかったので、ラッカーで塗装しておきます。

拡大図はこちら
裏面拡大はこちら

以上、本日はここまでです。次回電源部の配線からスタートしてきます。


6BQ5パラプッシュプルアンプ製作2(2007/5/15)

AC部分から電源トランスの配線

例によって、電源部分から配線を始めます。ACインレットとヒューズ部分を配線し、 パワースイッチまで配線を撚ってつなげます。基本的に交流が流れるところは ループが出来ないように撚って配線します。パワースイッチから電源トランスの AC100Vに接続します。

次に300VのB電源ラインを接続しました。整流管と電源トランス、 一発目の電解コンデンサまでをここも撚って配線します。電源トランスのタップは 250Vを使用しています。

パイロットランプは6.3Vヒーター部分から持ってきています。ヒーター配線は まず出力管から。6.3Vヒータータップが3つ付いていますので、 そのうち2本を6BQ5に使用します。

配線材は、特に電流の流れるラインなので、WesternElectric製の20AWG単線を 使用しています。(エフェクターで使っていたのと同一のものです。)

ヒーター配線と出力部分の配線

残りの電圧増幅管のヒーター部分を配線していきます。出力管の部分はAC点火ですが、 電圧増幅部はDC点火なので、その部分も作成します。ちなみにDC点火というと、 交流分がなくなってしまうように思いますが、しっかりと0.2V程度残ってきますので、 ここも撚って配線しておきます。

出力管はパラレルに配線していきます。出力トランスからの配線も行っておきます。 その他、B電源部分、リバーブ出力トランス部分、アースライン、 C電源(マイナス)部分も行います。

ここで電源部分の電圧を真空管をささずに測定しておきます。B電源は真空管の 負荷なしで310Vとなっており、まずまず設計どおりです。 その他のB電源ライン(+250V、+200V)も一先ず+310V出ており、配線が間違っていないことを 確認します。

C電源は、-10V狙いでそのとおりになるようBIASポットを調整しておきます。 ここもほぼ設計どおりの動きを示しました。まずまず今のところ順調。

また、今回は固定バイアスで動作させますので、 出力管のバイアス電流を見ておきたい所です。出力トランスの一時側の抵抗成分を 測定しておきます。今回使用しているU-405は、正転側68Ω、反転側67.4Ωとなりました。 ウルトラリニアタップもB電源の+310Vが出ていることを確認しておきます。

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信号ラインの配線と部品のマウント

電源、出力、ヒーター部分が終わったら、信号ラインを配線していきます。 配線の終了後、部品をマウントして動作する状態となります。部品を載せた状態で、 各ポイントの真空管がない場合の電源を測定し、問題ないことを確認します。

抵抗は一般品の酸化金属皮膜抵抗を使用し、コンデンサはASCを使用してみました。 信号ラインの配線材には、Fenderのアンプに使用されているという22AWGの 赤、青、茶色の三色の配線材を使用してみました。

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真空管を挿してバイアス電圧の確認

いよいよ真空管を挿してバイアス電圧の確認です。位相反転、ドライバー部分には 6N1Pを使用しました。

バチッとパワースイッチをON。灯るパイロットランプの赤・・・ちりちりちりという 真空管の目覚め・・・っととりあえず変なにおいやヒューズ切れはなしと。 B電源は、+290Vか。まあまあです。その他の電源ラインは+251V、+200V。 おっとどんぴしゃではないですか!!なかなかやりますね。6BQ5クアッドの替えがないため、 逝ってしまったら終了と気づいてから、背筋に冷たいものを感じながら作業していました。 C電源は-10Vで、出力に流れている電流を出力トランスの一時側で測定。70mA。 一本あたり35mAのため、約10W。9W設計ですから出力電流を30mAにするため、 バイアスを-10.5Vに調整。出力電流60mA、B電源は+302Vとなりました。

DC点火のヒーター部分はどうだろう?と思い、電圧を測定したところ、5.2V。 全然足りてないですね。一旦スイッチOFF。10000uFのコンデンサ一発でいってみようと 思ってましたが、やはり力不足のようで、2発に回路変更しました。 コンデンサの間に入れる抵抗値を6.3Vとなるように調整します。その他のバイアス電圧も 問題なし。

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リバーブユニットの取り付け

今回初の導入となります、リバーブユニットの登場です!!

アキュトロニクス社製のスプリングリバーブということですが、 いったいどういう仕組みになっているのでしょう?興味ありますね。 これをアンプの底板に取り付けます。いったいどんな音になるのか楽しみです。

それと、最後に天板に取っ手をつけて、アンプ部分を格納すると完成です!!


一応完成です!!

いやあ、構想からおよそ半年、一台のアンプ作るのに半年もかかってしまいました。

待ちに待ったアンプだけに、涙涙で感激もひとしおです。元旦にホームセンターに行ったり、 名古屋へ転勤等いろいろありましたが、完成までこぎつけられたのは、 妻と子供の協力のおかげです。感謝感謝!!

話は変わりますが、アンプの名前をどうしようか?今まで、モンキーで来ていたので、 アンプも踏襲しようか・・・いろいろ迷った挙句、今欲しい音をイメージ できる名前にしようと考え、Naked Blues Amplifierという名前にしました。 裸のブルースアンプ。荒削りに歪む生のブルースギターサウンドをイメージしました。

ちなみに、写真中のリバーブのつまみだけありませんが、これは単純に注文数を ミスったためです。詰めが甘い性格は直りませんね・・・

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さてさて、ギターをつないで一発目の音だしは・・・おお・・・でたあ。一発完動。 おめでとうございますと一人で自分をほめつつ、ドライブを上げていくと ギュイーンと歪み出す。おおっこれだ!!この歪み。歪みというよりドライブ感と言った方が いいこの気持ちよさ。このままヴォリュームをMAXまで上げていくと、きたーー!! ギザギザのドライブ感。今まで歪み系のエフェクターをいじってきましたが、 このザクザクの気持ちよさは到達できない!!

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そして、このままピックアップをフロントに換え、ギターのヴォリュームと トーンを絞っていくと・・・切ない!!ああ、切ないトーンがこうして生まれたのか!! ってな感じで、古いブルースのギターサウンドのような甘いトーンが得られそうです。

と、集合住宅での苦情出そうな感じで、数十分はあっちの世界へトリップしていましたが、 いろいろ実験してみると、改善・調整のポイントが分かってきました。 以下にまとめると、

まだまだ調整が必要なようです。

リバーブの検討

今回のようなリバーブとドライブが併設されているアンプで、 リバーブをどの位置に入れるかはちょっと難しい問題です。当初はデラリバ的にそのまま マスターの前に入れようと思い、実際そこに入れましたが、歪んだ音をリバーブに送り、 さらに増幅して還してくるので、ぐしゃぐしゃの音がドライブ音に重なり、耳障りでした。 リバーブをきってしまえば問題ないのですが、クリーンの時にはリバーブが欲しい、 とそこは欲張りなので悩んでしまいます。

いろいろ音を聞きながら、回路図を見ながら検討しましたが、妥協策として、 ドライブ段とリバーブ段を並列にするのがいいと考えました。したがって、 リバーブの入力はトーン回路の前からとり、リバーブ出力とドライブ出力をマスターの前で、 合成します。こうすることによって、ドライブを上げた場合はリバーブが見えなくなり、 ドライブを下げた場合はリバーブが効くようになるわけです。

ボリューム最大+ドライブ最大で発振

部品を変えたり、位相補償を入れたりしていろいろ実験してみましたが、 位相補償は音がこもってしまうのであまり使いたくないと思い、単純に増幅ゲインを 落とす方向に持っていこうと考えました。

回路的には、12AX7のカソードに入れていた電解コンデンサ22uFを取り去り、 カソード側から帰還が返ることでゲインが落ちます。出力側のインピーダンスが上がってしまいますが、 そこは実際耳で聞いて得に問題なさそうなのでこのままにします。ドライブ段に入っている 4.7uFのタンタルコンデンサは、歪み音の肝になっているのでこのままにします。

ドライブのつまみ調整

これは使い勝手にかかわってくるところですが、ドライブのつまみのしたの部分に 10kΩの抵抗を追加しておきます。こうすることで、ドライブをMINまで絞っても 1/20程度信号が残り0とならないので、クリーンの設定がしやすくなります。

ガツッと抜けない

非常に難しい問題ですね。何が悪いかさっぱり分かりませんから。 しかしこういう音のトーンに関しては、信号ラインに使用しているコンデンサの影響が強いので、 エフェクターの実験の時も感じていたことですが、ASCのコンデンサが割りとこもったような よく言えば甘いトーンだったという記憶があり、コンデンサーをいつものMallory150sに 変更してみました。

予想は当たったようで、歪んだ時の立ち上がりがよく、さらにザクザク感が増したようです。 しかし、コンデンサの何が影響して違ってくるのか今後も検討課題ですね。

ヒーターハムor電源のACリップル

あのボーっと言う音が果たしてどちらの影響なのか見分ける作業が必要ですが、 空気中を飛んでくるヒーターハムを捕まえるのは至難のわざと思い、電源リップルから 対策してみました。

B電源の+250Vラインと+200Vラインのそれぞれに100uF/400Vの電解コンデンサを入れ、 実際に音を聞いてみると・・・おおっボーっと言う音が改善しています。 さらに、ギター音の立ち上がりがよくなったような感じで、 かりっパリッという印象が強くなりました。しかし、電源の特性でも音が変わるとしたら、 音の調整という意味では、無限大の調整ポイントがありそうですね。僕らは、 どこで妥協するかを決めているだけ?という感じがします。

完成!!

完成!!と書きましたが、もちろんこれからもどんどん実験を行い、 改良を重ねていくつもりです。一応今のところの問題ない?回路を示しておきます。

改良版回路図はこちら
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とはいえ、一応希望としていた課題をクリアし、期待通りのアンプを作ることが出来ました。 アンプ作りは根気と体力と頭を使う趣味だとつくづく思います。また、キャビネットは 半年たってみるとオイルがパイン材に浸透して行き、濃い黄色となってきていますね。 雰囲気もなかなかいい感じだと思います。


最後に、特長を簡単にまとめて見ます。


サンプルサウンドは時間がなくてあまり取れていませんが、今のところ取れている 二つをUPしておきます。一つ目は、カスタムショップ製Fenderストラトフロントピックアップで リードとリズムを弾いています。録音は、SM57+MicroBRです。

サンプルサウンド1

二つ目は、テレキャスターデラックスのリアピックアップで、 ヴォリューム最大+ドライブ最大設定でリードとリズムを弾いています。録音は同一。

サンプルサウンド2

追加サウンドUP(2007/05/19)

追加サウンドをUPします。一つのサンプルの中に、ギター三本入れました。 一発目がカスタムショップストラトのフロントピックアップの歪み、 二発目がフライングVのリアピックアップ(ダンカンPU)、 最後がテレキャスのフロントピックアップです。録音は、前回と同様のMicroBR+SM57です。

サンプルサウンド3

追加サウンドその2UP(2007/07/01)

半年振りぐらいに部屋の隅に行っていたエピフォンのレスポール(PUギブソン)を 引っ張り出し、NBAにつなげてみると・・・結構いい感じ!!気持ちいい〜かったので、 ピックアップセレクターを接点復活材で修理し、弦を張りなおして使えるようにしました。 ごりごりのサウンドですが、高音のきらきら感がなくならず、ガリッと手に残る感触が いい感じです。なので、サンプルサウンドUPしてみました。

バッキングとソロを全く同じ設定で弾いています。(こういうところで手を抜いてしまうんです。) アンプ直結のレスポールリアピックアップです。

サンプルサウンド4
サンプルサウンド5

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