デラリバの修理
絶好調だったデラリバが突如故障してしまいました。スタンバイスイッチを 入れたとたんにブーブーと大音量で音が出っ放しとなります。ボリュームも一切効かず かなりの近所迷惑です。何回かに一回は問題ないのですが、突然ブーブー言います。 真空管アンプに関して全くの知識がないので、その日一日ドヨーンと落ち込んでいました。
WEBで集められる限りの情報を入手し、果たして完璧に直せるのか不安でしたが、 自分で修理する!!と決意してアンプの解体をはじめました。今までの動作不良は 3つあります。一つ目は、ボリュームのブーストスイッチをONさせ、ブーストすると 音が割れる。二つ目は、パイロットランプがつかない時がある。三つ目は、今回の ブーブーです。ブーブーは全く使い物にならないのでこれは絶対に直す必要があります。
解体後のデラリバ上面写真はこちらデラリバ回路内部写真はこちら
参考までにスピーカーはこちら
デラリバ内部をあけてみると、部品マニアの僕はよだれがたれるほどのビンテージ 部品の宝庫ではないですかっ!!いい音がすると思ったらこれか!と頷いてしまいました。 パワー管は、SOVTEKの6V6GTがペアで使用されており、整流管はfenderのオリジナル? のものがついています。僕のところに来る前にリペアされているらしく、トーン回路の 部分の部品が変更されていました。
拡大1はこちら(変更箇所は赤)拡大2はこちら
拡大3はこちら
最初に疑うべきは・・・
最初に疑うべきは、部品の破壊です。劣化した部品がないかチェックしました。 素人目なので黒焦げになっている部品がないかを重点的にチェックします。 ぱっと見たところなさそうなので、次に進みます。
断線と半田不良
半田不良は僕も経験がありますが、本当に分かりづらいです。今回は手配線で 部品間の配線がポイントトゥポイントとなっていますので、割り箸で線をつついたり 部品をつついたりしてチェックしていきますが、全く改善しません。
パワー管のバイアス調整をしてみる
デラリバの回路から、バイアス電圧は-35Vなので、そこにあわせてみます。 うーん、ぜんぜん影響がありません。ここも違いますね。
状況証拠から原因を推定してみる
ブーッと音がなり続けているので、スピーカーにはAC信号が絶対に入ってきている はずです。ボリュームを絞っているので初段部分は関係なさそうです。リバーブスイッチ、 ビブラートスイッチをON/OFFさせても全く影響がないので、そちらも関係なさそうです。 スピーカーにAC信号が入るとすれば、電源からか、もしくはパワー管です。また、 真空管の発光も確認したのですが、ブーブーなるのと一緒に発光が変化するのも ありません。(プリ管の異様に明るかったのですが、この時は特に問題かどうか 分かりませんでした。)たまにパイロットランプがつかないのも関係があるのでしょうか? 整流管?トランス?かなりディープな領域に踏み込まなければならないのでしょうか!? いやいや基本に戻ってできる限り状況証拠を集めなければっ!
各ラインのDCバイアス電圧をチェック
回路図に書かれている電圧を参考に、各ラインの電圧をチェックしていきます。 ここで、現象として発見したのがブーブーなっているときと通常の時では、電圧が ずれると言うことです。電源ラインは通常410V程度ですが、ブーッとなると380V程度に ダウンします。バイアス調整を行ったグリッドラインも-60V程度まで落ち込みます。 しかし、通常状態のバイアス点では、特に問題ありません。と言うことは、受動素子 つまり抵抗やコンデンサと言った部品はほぼ大丈夫と思っていいと判断しました。 あるポイントから急に動作状態が変化するのは、能動素子つまり真空管しかない!! と気づきました。
真空管の交換
まずは、電圧のずれていたパワー管から変更します。入手できたのは、 グルーブチューブのGT-6V6Cでした。真空管を交換し、電源を投入!!おっ直った!? ブーブーブー・・・駄目だ。パワー管は違いました。今度は、プリ管の12AT7を交換。 おっ直った!?・・・OK!大丈夫そうです。やったー直ったー!!
パイロットランプ部分
パイロットランプの端子がアースに異様に近い部分を発見!!パイロットランプが つかなかったのは、ここのショートか?一応ショートしないように曲げておきます。 よく考えてみると、パイロットランプの電圧はヒーター部分と直結させているんだな。 12AT7の故障はヒーター部分かもしれません。
原因の推定
おそらく二つの原因が推定されます。一つは、12AT7のヒーター部分の故障、 パイロットランプに影響、全てのヒーター電圧に影響、ブーブーに至る。ともう一つは、 パイロットランプ部分でショート、ヒーター電圧異常、12AT7が故障、ブーブーに至る、 です。全く初めてのことなので自信はありませんが。
少し欲を出してしまいました
ついでに、マスターボリュームの設置を行いました。 使用しないブーストフットスイッチのところをはずし、1MΩのポットを設置。 プリ管の前段にポットを入れることでマスターボリュームとしました。パワー管は 歪みませんが、ボリュームをフルにすることで歪みがUPすることを期待しました。
マスターボリューム追加写真はこちら(赤)改造後全体写真はこちら
修理を終えて
全く初めてのことだったので、どうしたらいいか試行錯誤の連続でしたが、 何とか運良く修理することができました。修理後、ボリュームスイッチのブーストも 直っていました。プリ管の12AT7は寿命まじかだったのですね・・・
ともあれ、マスターボリュームによりウォームな歪みも得ることができるおまけ付き なので、今回は合格点だと思います。歪みもいいけどやはりクリーンは最高ですね。 手の焼けるアンプほどかわいいと言うことでしょうか!?
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